千手観音立像の復元想像図


 古保利薬師の「千手観音菩薩立像」は長年を経て、千手せんて化仏けぶつが失われました。
 仏像ができた当初のお姿はどうだったでしょう。

 


(1) CG(コンピューター・グラヒック)による合体復元
 元広島修道大学教授の松本眞まつもと しんさんが、
 現存する仏像の中から古保利薬師の千手観音立像に最も近いと思われる仏像を探し、
 千手部分は京都の広隆寺講堂の「十一面四十手」の千手観音菩薩立像を
    ➡ 広隆寺講堂の「十一面四十手」の千手観音菩薩立像
 また、頭上の化仏けぶつは京都の海住山寺かいじゅうせんじの観音像の化仏を借りて、
                         ➡ 海住山寺の観音像
 CG(コンピューター・グラヒック)で合体復元されました。
 その復元想像図は、松本眞著『古保利の仏像』・アートダイジェスト発行・2004年にあります。
     古保利薬師を紹介していただいている書籍・写真集


(2)復元絵図
 広島市安佐北区の日本画家青木妙賢さんが、
 古保利薬師の千手観音菩薩立像の元の姿を想定して、
 「十一面千手観音菩薩坐像」を描かれました。

                     
 

       当館が所蔵する絵画

(3)「千手観音菩薩」について

 両脇に  脇手わきしゅ・・・いろいろな物を持つ   左右19手   38手
 胸の前に合掌手がっしょうしゅ真手しんしゅとも言う   左右1手     2手
       宝鉢手ほうはつしゅ 宝鉢を持つ       左右1手     2手
                             計       42手

 合掌手を除く40手の手の一つ一つが25の世界を救う。よって、40×25=1000の世界を救う。
 見逃すことなく、すべての世界のすべての人を救う意味合いです。

 〇 頭上に十一面の化仏けぶつがあります。
   前も後ろも右も左も、すべての世界のすべての人を見ておられます。

 〇 脇手わきしゅ (主な持物)
   <左手>              <右手>
  宝戟ほうげき  杖、先端に鉾    錫杖しゃくじょう  杖、先端に輪、動くと鳴る
  化仏      小さな仏像     化仏       小さな仏像
  宝鐸ほうたく   小さな鐘      三鈷杵さんこしょ  両端が三又の棒状で中を握る法具
  白蓮華                青蓮華
  羂索けんさく  投げ縄       数珠
  日輪                 月輪がちりん
  宝輪                 宝珠
  宝螺ほうら   ほら貝       宝経  お経
  玉環ぎょくかん  金の輪      宝印
  紅蓮華ぐれんげ           紫蓮華しれんげ
      等々               等々

 〇 解説版『新指定重要文化財』昭和56年刊・重要文化財編纂委員会編から、
   古保利薬師の「千手観音立像」について、
  『・・・一木造りの風を素朴に伝えて豪放な趣がある。
   しかし、肉取りはむしろ穏やかで、条帛じょうはくや裳には随所に翻波ほんぱ
   渦文かもんを交えながらもその彫りは浅く、
   製作は藤原時代初期(9世紀後半)に入ってからと考えられる。・・・』

(4) 千手観音で広く知られるのは、
   蓮華王院三十三間堂の「千手観音座像」と「千体千手観音立像」です。
   千体の千手観音により、1000×1000=1、000,000の世界の人々をお救いになります。
       ➡蓮華王院三十三間堂
   鎌倉時代後期のもので、運慶の作。  
     42手。 桧の寄せ木造り。 漆箔。  大きさは丈六(➡仏像の大きさ)。

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