「如来様」について


 「仏教」や「仏様」については真に奥深いものがあり、安直に語れるものではありません。
 若者や高校生・中学生に理解できるよう、できるだけ平易に書きましたのでご容赦ください。

 「如来にょらい」とは、梵語ぼんごの「タターガタ」からきています。
 「タター」とは「そのような」の意味があり、「如」と漢訳されました。
 「如」は「ごとし」と訓読みしますね。
 如実とか真如と使われるように、「ありのまま」すなわち「真実」、「真理」の意味があります。

 「ガタ」とは「来れるもの」の意味があります。
 よって、「如来」とは、真理の道を極めた人、その尊い人が私たちのところへ来られた・・・という意味合いになります。

 如来には、釈迦しゃか如来、阿弥陀あみだ如来、薬師やくし如来、大日だいにち如来などがあります。
   *仏教は古代のインドで生まれたので、仏教の用語や仏像の名前が
     インド古来の言語の梵語(サンスクリット語)に由来します。

 「釈迦如来」について。
 「釈迦」とは、ご承知のように仏教の開祖です。
 そのお名前は、お釈迦様が王子としてお生まれになったインド北部の「シャカ族」に由来します。
 王子としてのお名前は、「ゴーダマ・シュダッタ」です。
 生没年ははっきりしません。紀元前4~5世紀の頃のお生まれです。
                                                  
 29歳の時に城を出て、6年間、厳しい修業を積まれました。
 そして35歳の時に、菩提樹ぼだいじゅの下で静かに瞑想めいそうして悟りを開き、
 真理を体得されました。
 以来45年間、仏法を説いてインド各地を巡られ、
 80歳の時にクシナガラの沙羅双樹さらそうじゅの下で亡くなられました。
 ですから、「釈迦如来」は仏教の開祖となった実在のお釈迦様の仏像です。

 お釈迦様のもとに多くの弟子や信者が集まりました。
 お釈迦様が亡くなられた後もお釈迦様の教えを受け継ぎ、お釈迦様を慕い、仏教はインド中に広まりました。
 その時代は、世界は一つ、そして仏様はお釈迦様お一人でした。

 ところが、約5百年を経た頃、つらい現世に苦しみ悩む人々は、
 お釈迦様のように自力で成仏じょうぶつできない者はどうしたらよいか、考えるようになりました。
 そして、世界は一つではない。
 私たちが住む現世とは別に、西方や東方に世界があり、西方には阿弥陀様がおられる極楽浄土ごくらくじょうどがあり、
 東方には薬師様がおられる浄瑠璃世界じょうるりせかいがあると考えました。
 この世界観の背景には、人の魂には、生まれる前の前世があり、現世があり、
 やがて死んで来世を迎えるという、インド古来の輪廻りんねの思想がありました。


 まず、「阿弥陀如来様」について。
 阿弥陀様は、梵名で「アミターバ」と言い、漢語で「阿弥陀」と読み書きするようになりました。
 アミターバとは、「無限の光をもつもの」という意味です。
 ですから、阿弥陀様は無明むみょうの現世をあまねく照らす仏様です。
 「無量光仏むりょうこうぶつ」、「無量寿仏むりょうじゅぶつ」とも言います。
 その教えは、「仏説無量寿経」や「仏説阿弥陀経」などに書かれています。
 
 私たち衆生すじょうは煩悩ぼんのうにとらわれ、私欲に走り、お釈迦様のように成仏できません。
 そのような悩める、か弱い衆生を救うため、阿弥陀様は四十八願の誓いを立て、成就じょうじゅされました。
 その四十八願のうち第十八願を本願とするのが、浄土真宗です。

 浄土真宗の開祖親鸞しんらんは、誰であろうと信心をもって「南無阿弥陀仏」を称え、
 阿弥陀様におすがりすれば、西方浄土さいほうじょうどへ迎えていただけると説きました。
 ですから、親鸞が開祖の浄土真宗は、阿弥陀様を御本尊とします。


    阿弥陀堂

   

   「阿弥陀如来」が境内の東側の「阿弥陀堂」に安置されています。

                                               
 



























 それでは、「薬師如来様」について。
 薬師様は、梵名を「バイシャジャ・グル」と言います。
 「バイシャジャ」には医薬、「グル」には先生の意味があるので、「薬師」と漢訳されました。
 薬師如来様がおられる東方の浄瑠璃世界は瑠璃るり(宝石)が放つ青い光に満ちていることから、「薬師瑠璃光如来」とも言います。
 医薬の仏様なので、「大医王仏」とも言われます。
 その教えは、「薬師瑠璃光如来本願功徳経」などに説かれています。

 薬師様は修業して「十二の大願」を立て、成就じょうじゅされました。
 中でも第七願「除病安楽」は、文字通り病気を除く願いです。
 健康な人は病気にならないように、病気の人は病気を治し、安らかに楽しく生活できる願いです。
 今日のように医療技術が進んでいない時代のことです。
 健康を願い、あるいは病気を治したいと願う人々が薬師如来様に救いを求め、広く信仰を集めました。
  その昔、「薬師」さんはお医者さん

 古保利薬師さんには今も、健康を祈願して多くの方がお参りになります。
 全国各地に薬師寺や薬師堂がありますが、古保利薬師のように薬師如来、日光菩薩、月光菩薩の薬師三尊と十二神将がそろっているお寺は少ないでしょう。
 
  

                                                             
  講堂の薬師如来様(絵)

   

   国の重要文化財の薬師如来様は収蔵庫に安置されています。
   講堂には、薬師如来様のお姿を飾ってお参りしています。    





























 如来様には共通のお姿があります。
 まず、着物は、肩から腰にかけた納衣のうえという薄い大きな布です。
 下半身には、裙くん、あるいは裳と呼ばれるスカート状の布を巻きます。
 元は王子ですが、すべてを捨てて出家して悟りを開いたのですから、装飾品は一切付けません。

 お釈迦様の体は、「三十二相八十種好」の特徴があると経典にあります。
 特徴的なものを挙げると、
 頭頂部のこぶ状の盛り上がりは、その中にたくさんの知恵が納められ、エネルギーが宿るところ(頂髻相ちょうけいそう
 眉の間の小さな丸は、白い毛が巻いたもので、光明を放つ(白毫相びゃくごうそう



 なお、当収蔵庫では、近在の仏像をお預かりしています

 〇 阿閦如来

 〇 今田の「薬師如来様」


     お預かりしている仏像

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