特集  11   
実質公債費比率

9月4日の中国新聞 朝刊の1面トップに


 「実質公債費比率18%以上 
             財政信号 4割越す
                    借金頼み反映

 自治体の財政健全度を示す指標として国が新たに導入した「実質公債費比率」で、中国地方五 県では全市町村の43%に当たる四十五市町村が、地方債発行に都道府県の許可が必要になる18%を越えたことが三日、各県のまとめで分った。・・・・・・・・




 そして、市町村別の比率が紹介され、広島県では、北広島町がトップの21、3%になっていることが報道され、驚かれた方も多いでしょう。
 そんなに財政状況が悪いのか、一緒に勉強してみましょう。


 公債費比率とは、町の歳出に占める借金・利息の返済額の割合です。
    返済しなければならない額が多いと、財政は窮屈で苦しいわけです。

    それは家計も同じで、借金の返済が多いと大変です。
    収入の多少にも依ります。収入が多ければ、借金が多くても大丈夫ですが、
    収入が少ないのに借金が多いと、返済に追われて生活できなくなります。

 そこで、市町村ごとに収入の多少に特殊事情が反映しないよう、市町村の規模に応じて算出される標準財政規模との比較で、公債費の比率を算出して、町債の返済が多いかどうかを判定します。

 したがって、単純には、

       公債費比率=                町債元利償還金                             
                                標準財政規模


となりますが、家計とは違い、市町村の財政には特殊な仕組みがあります。
 町の収入の中には、借入れ(起債)の際、返済の一部を国が負担すると約束したものがあります。
 家計でいうと、住宅の建設費を親に手伝ってもらうようなもので、仕送はそのまま借金の返済に回ります。 同じように、町債の返済を国が負担することになっているもので、国から市町村に配分される普通交付税の中に公債費分として入っています。そのほか、返済に向ける特殊財源などがあるので、これらを算定の際に調整します。
 そのため、計算式はややこしくなりますが、
 

  公債費比率

  町債元利償還金(特殊財源普通交付税において基準財政需要額に参入される公債費)

      標準財政規模  普通交付税において基準財政需要額に参入される公債費


 これまでは、この公債費比率を用いて財政の健全度を調べていましたが、さらに実質的に負担となっている上下水道や病院など公営企業の借金の負担も含めて算出すべきと言うことになり、
実質公債費比率を健全度を測る数値に用いることになりました。
                     、
                      これをインターネットで調べると    実質公債費比率
 
 要するに、公債費比率の分子の町債元利償還金に、公営企業の元利返済金を加えたもので、当然のことながら、従来の公債費比率より高くなってきます。



<計算式>

 分子
 
一般会計公債費に充てた一般財源の額    
公営企業債の償還に充てた一般会計からの繰入金
一部事務組合の起債の償還に充てた町からの負担金    
公債費に準じる債務負担行為に係るもの            −  普通交付税に参入された公債費

 分母       

標準税収入額等(町税、地方譲与税、交付金を一定の計算式で標準化した数値)
普通交付税額
臨時財政対策債発行額                       −  普通交付税に参入された公債費


   分子/分母    を、平成17年度
                 平成16年度
                 平成15年度     3年平均      で、   21.3  となる。

 

但し、どうしても払わなければならないのは(義務的経費)、
        公債費のほか、
            人件費(給与等)
            扶助費(支払いが約束された福祉関係費)
            維持費(建物等) 等々
        これらの合計が、収入総額に近いほど苦しく、自由に使えるお金がなくなります
                                     (投資的経費)

     この数値を、経常収支比率と言い、
           北広島町は、96.3%
                自由に使えるのは、わずかに3.7%と言うことになります
    
          従来の目標では、80%が限度と言われていましたが、
                                     とっくにオーバーしています








 参考までに、本町の財政状況をまとめてみました。
 朝風第16号 町の予算の仕組み でお示しした北広島町の平成18年度当初予算から



      会計      歳出(総費用)    公債費(借入金の返済と利息)
     一般会計    145億    万円           28億9009万円   
国民健康保険特別会計         22億1000万円          −
診療所特別会計      1億9200万円             91万円
老人保健特別会計     31億9000万円          −
介護保険特別会計     22億6000万円          −
簡易水道事業特別会計      7億7700万円        2億1140万円
下水道事業特別会計      8億7300万円        3億8552万円 
農業集落排水事業特別会計      4億1100万円        2億6085万円
電気事業特別会計        4630万円          1596万円
住宅団地等開発特別会計        1600万円            17万円
芸北財産区特別会計         700万円          −
    特別会計 計
(企業会計)豊平病院事業会計      8億3336万円          5209万円
(企業会計)水道事業会計      2億1610万円          7926万円
    企業会計 計    255億3176万円      38億9625万円 
        合計    255億3176万円      38億9625万円

 
                                                (9・11 執筆中)
  なお詳しくは、朝風第19号(財政は大丈夫か)に掲載




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