地方自治を確立する会
代表 杉本武信
発行 2006・7・1
第17号(農政の調整・確立)
合併後も、旧4町の農政が未調整のままになっています。
・・・・・・・気象、土壌等の自然条件が異なることや、農家・農協・行政の長年の努力の結果、
独自の農政が培われており、調整は難しい問題です。
ちなみに、千代田の平坦部の標高は約280m、 芸北の八幡の標高 約770m
農作物の作付もかなり違います。
(水稲) コシヒカリの作付は次のとおりで、芸北はあきたこまちが多く、
豊平はあきろまんもあります。
地域名 | 水稲のうちコシヒカリ 作付面積 (比率) |
芸 北 | 17年度実績 47ha (11.0%) |
大 朝 | 17年度実績 315ha (82.6%) |
千代田 | 18年度目標 580ha (82.9%) |
豊 平 | 18年度目標 275ha (63,2%) |
(野菜)高冷地の特色を生かした芸北の秋口のトマトは、市場で高い評価を受けています。
芸北地域のトマト・ハウス
(花き)豊平の花きは、若者の参加で生産を伸ばしています。
豊平 どんぐり村
産直市場 さんさん市
出荷・展示された花卉
それぞれの商品に
生産者の名前と夫婦の写真
これら生産者の多くは、
旧豊平町で
平成11年度から実施された
新規就農者研修等支援事業の
出身者
2年間、実践しながら学ぶ
広島市農協が指導・
研修施設を管理運営
2年目は、農業言委員等の協力で就農地を決めて着手
詳しくは、 リンク 北広島町新規就農研修施設研修生募集案内
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ところで、 地域間で転作率が異なるのはなぜか?
転作率の算出は、次のようになっています
地域名 | 水田面積 | 配分 生産数量 |
基準反収 | 水稲作付 配分面積 |
転作 必要面積 |
転作率 |
芸 北 | ha 685.5 |
t 2117.3 |
kg/10a 493 |
ha 429.6 |
ha 255.9 |
% 37.3 |
大 朝 | 577.1 | 2004.1 | 523 | 383.0 | 194.1 | 33.6 |
千代田 | 1150.5 | 4099.7 | 523 | 783.6 | 366.9 | 31.9 |
豊 平 | 734.6 | 2430.4 | 505 | 481.3 | 253.3 | 34.4 |
計(平均) | 3147.7 | 10651.5 | 511 | 2077.5 | 1070.2 | 34.1 |
基準反収の多少により計算されます。
加えて、JA農協の配分先確保分が加味されます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
転作奨励金(国・県 補助分)は、地域それぞれ特色があります。
この奨励金は、町の予算には計上されず、直接、各地域の水田農業推進協議会へ
配分されます。
芸 北 反当り | |||
産 地 づ く り 交 付 金 国 |
振興作物 助成 |
花き・花木 | 25000円 |
トマト・キャベツ ホウレンソウ |
|||
<独自基準> 認定農業者等 助成 |
野菜 | 30000円 | |
花き・花木 | |||
景観作物 | |||
永年性牧草 | 15000円 | ||
飼料用青刈りイネ | |||
ソバ | |||
小豆 | |||
自己保全管理 | 5000円 | ||
調整水田 | |||
地区達成助成 | 3500円 | ||
県 | 特別調整促進加算 | トマト | 12000円 |
耕畜連携対策 | 牧草 | 13000円 | |
以上 18年度計画 3095万円 |
大 朝 反当り | |||
産 地 づ く り 交 付 金 国 |
振興作物 助成 |
大豆 | 47000円 |
飼料イネ | 35000円 | ||
飼料作物 | 20000円 | ||
バイオマス エネルギー作物 |
25000円 | ||
1年2作加算 | 5000円 | ||
販売・出荷用野菜・花き | |||
振興作物団地化加算 | 5000円 | ||
担い手振興作物団地化加算 | 12000円 | ||
土づくり加算 | 3000円 | ||
担い手作業委託加算 | 10000円 | ||
景観作物作付加算 | 15000円 | ||
米栽培日誌記帳助成(農家1戸) | 5000円 | ||
地区達成助成(自己保全・調整水田を含む) | 3000円 | ||
県 | 特別調整 促進加算 |
ナタネ | 12000円 |
耕畜連携 対策 |
飼料イネ | 13000円 | |
麦・大豆品質向上対策 | 13000円 | ||
以上 18年度計画 4594万円 |
千代田 反当り | |||
産 地 づ く り 交 付 金 国 |
団地化・土地利用 集積化によらない |
土地利用型作物 | 15000円 |
出荷用作物 | 20000円 | ||
<独自基準> 団地化・土地位用 集積化による |
大豆 | 54000円 | |
麦 | 40000円 | ||
飼料作物 | 28000円 | ||
地力増進作物 | 13000円 | ||
その他の作物・地力増進作物 | 6000円 | ||
調整水田 | 3000円 | ||
地区達成加算 | 3000円 | ||
担い手構造改革推進 | 担い手集積 | 6000円 | |
ほか、大豆刈取用大型コンバイン・リース料助成 担い手育成研修 |
|||
県 | 特別調整促進加算 | トマト | 12000円 |
耕畜連携対策 | 牧草 | 13000円 | |
麦・大豆品質向上対策 | 13000円 | ||
以上18年度計画 5013万円 |
豊平 反当り | |||
産 地 づ く り 交 付 金 国 |
A | 集団転作のソバ・大豆 | 30000円 |
一般の大豆 飼料作物(含発酵飼料稲) |
20000円 | ||
一般のソバ 出荷目的の振興作物 10品目 |
10000円 | ||
B | その他の作物 | 3000円 | |
調整水田(水田の全部) | 2000円 | ||
調整水田(部分的実施) | 1000円 | ||
自己保全管理・果樹等 | カウントのみ | ||
団地加算 Aの作物 50a以上 | 10000円 | ||
集積加算 Aの作物 3ha以上 | |||
農地集積助成 担い手に集積 法人化助成 1法人当り |
3000円 50000円 |
||
県 | 特別調整 促進加算 |
ソバ | 12000円 |
耕畜連携 対策 |
飼料イネ | 13000円 | |
18年度計画 3304万円 |
町助成の農業政策も、4地域で異なります。
芸 北 |
生産調整交付金 (財源) 1014万円 (繰越金) (事業) 水稲・転作作付面積 1500円/10a |
大 朝 |
地域とも補償 (財源) 町・農協各160万円 農業者反当160円拠出 (事業) 地域農業集団・担い手育成 土づくり助成 産直振興 専門技術員設置 特産品開発支援等 土地利用型作物生産振興対策事業 (財源) 町300万円 (事業) 大豆・麦・ナタネの生産に対する助成 |
千 代 田 |
地域活性化支援事業補助金 (財源) 町・農協各240万円 (事業) 産直野菜出荷助成 施設園芸(ハウス)助成 土づくり推進助成 こだわり米推進助成 等 |
豊 平 |
農業振興補助金 (財源) 町284万円 (事業) 飼料イネ対策助成 生産調整達成地区補助 ソバ蒔機助成 地力増進対策助成 その他農業振興補助 (財源) 町280万円 (事業) ソバ生産振興対策補助 営農互助センター補助 手打ソバ保存会補助 農業後継者「楽農会」補助 野菜(ピーマン)生産振興対策補助 |
平成19年度から国の農政が大きく変わり、新たな経営安定対策が実施されます。
それは、@ 助成の対象を、担い手(4ha以上の大規模農家・農業法人)に限り、
A 作物も、麦・大豆などの品目に限るというものです。
この新農政に対応できるか?
大規模農家や法人の現況は次のとおりです。
地域名 | 水田面積 | 大規模農家 | 法人・特定団体 | 大規模・法人等 合計経営面積 |
大規模・法人等 経営面積比率 |
||
戸数 | 経営面積 | 法人数 | 経営面積 | ||||
芸 北 | ha 685.5 |
戸 12 |
ha 69 |
法人 2 |
ha 66 |
ha 135 |
% 19,7 |
大 朝 | 577.1 | 21 | 163 | 7 | 97 | 260 | 45.1 |
千代田 | 1150.5 | 12 | 76 | 8 | 187 | 263 | 22.9 |
豊 平 | 734.6 | 21 | 118 | − | − | 118 | 16.1 |
計 | 3147.7 | 66 | 426 | 17 | 350 | 776 | 24.7 |
芸北地域は、大豆や麦の生産に適していません。
多方面から注目されているソバやナタネの支援も課題です。
(ソバの花) (大朝小4年生によるナタネの収穫)
転作奨励金は継続の見込みですが、作付けのない自己保全管理や調整水田は年々
増加しています。
地域名 | 転作のうち 自己保全管理・調整水田の面積(比率) |
芸 北 | 17年度実績 164.7ha (64.4%) |
大 朝 | 18年度計画 61.7ha (31.8%) |
千代田 | 17年度実績 150.1ha (40.9%) |
豊 平 | 18年度計画 97,7ha (38.6%) |
国や県の農政で行き届かないところは、町独自の政策が必要になっています。
このような状況を踏まえ、これから秋にかけて、生産者団体、農業集団、農協、
農業委員、議会などの代表による北広島町経営安定対策協議会を中心に調整を
図り、年内を目途に新町の農業振興施策を策定することになっています。
<コメント>
紙上が限られるので、若干のコメントを加えます。
合併して、ほとんどの行政が本庁で統括され、支所は本庁へ伺いを立てて実施することとなり
ました。
ところが農政のうち、基盤整備などを除くこれらの事業は、未調整ということもあり、
転作奨励金(地域づくり交付金)が町の予算を通さず、直接、各地域の水田農業推進協議会へ
助成されるということもあって、支所に合併前からの権限の多くが残され、支所単位で進められ
ています。
(2006.6現在)
(以下、進展があり次第、報告予定)
地方自治を確立する会トップページへ戻る