ランブル巻頭句集 (上田日差子選)
2016年、2017年



 
 2016年

   1月

   2月

   3月

   4月

   5月

   6月

   7月

   8月

   9月

  10月

  11月

  12月




     秋声や水が水研ぐ貴船川        野間暎氏

     雲流れ山流れゆく十三夜         望月淳志

     菜の花や夜空にもある照り曇り     宮本悦子

     霊峰のその上にある初御空       山口辰夫

     寒椿蕊に籠りしちからかな        田村つね子

     日差しとは日のまなざしや蝌蚪の紐  林美恵子

     水草生ふ水かげろふを絡ませて     添田 蒼

     牡丹散り夕べのひかり地にひろぐ    岩上奎子

     羽抜鶏動けば風も動きをり        黒川礼子

     宵山や彼の日の父の肩車         一條 栄

     無花果を割れば混沌ひしめけり     川島ちえり

     看取りの灯けふより秋の灯となりぬ   山崎明子




  

 2017年

  1月

  2月

  3月

  4月

  5月

  6月

  7月

  8月

  9月

 10月

 11月

 12月
 



     窪みより風の始まる芒原         杉原冴栄

     鎌倉の空突き抜くる花八ツ手      二宮与志男

     小春かなオカリナの音は空を飛ぶ   児玉瑠美子

     懸崖の先の先まで冬の菊        菊池直人

     牡丹の芽濃き鳥影のいくたびも     宮南幸恵

     白魚のいのち授かり寿          安藤順一

     過去形の母との会話花蘇芳       紫野はづき

     夕日さす縄を丸めて牛洗ふ       後藤明弘

     夏富士や群青色の九分九厘       山下狂介

     五千石句碑緑蔭に納まらず       大原芳村

     寛永寺裏を朝顔市帰り          高野さちこ

     天の川堰作りたる雲一朶         横山正之