特集  13  
小学校へ英語科導入

 小学校の教科に、英語を導入すべきかどうか、議論になっています。

 既に、総合学習教科を超えて自由に学習内容を考え、児童の総合的に考える力を養う=小生の理解)
のなかで、英語学習を取り入れている学校は相当あります。

 そのひとつ、早くから英語教育に取り組んでいる芸北地域(旧芸北町)で、
10月19日に開催された研究公開
                      「研究紀要」から

 
     <平成17・18・19年度文部科学省研究開発学校指定>

 研究開発課題
      小学校段階から「ことばの技能科」「英語科」を新設した場合の
       (保)幼小中工3年間の一貫・系統性ある教育課程についての開発
        

 めざす子ども像
      国際化社会・実社会で生きる論理的思考力と
                コミュニケーション能力を身につけた子ども   


 そのため、

      
     芸北地域の子どもの実態に応じた教育
       原因               実態                   教育     
  固定化された人間関係
 多くの人と接する
       経験の不足
 明確に「ことば」で
    表現しなくても
       分かり合える
 コミュニケーションを
      とることが苦手
     コミュニケーション能力を
 ⇒   身につける
 少人数の学習集団
       生活集団
 純朴な人柄
 多様な考えを持つことが苦手
 情報を鵜呑みにしてしまう
    傾向がある
     論理的思考力を養う
 ⇒  (批判的思考力)
 電話や接遇などの対人処理技能が不足している
 正しい敬語表現ができない
 挨拶や返事などの基本的なことを含めて、
   社会生活や人との関わりを円滑にするための
      コミュニケーション能力が不足している
     ソーシャルスキルを養う
 ⇒  (社会で生きるための技能)  

   続いて、研究紀要には、公開授業等の具体的な教育内容が詳しく記載
       


当日の公開授業 (芸北中学校・中学校1年生と町内の小学校5年生)

      
             
        授業参観している人に、英語で話しかける
                ・・・・・・話しやすいように、クイズを解くようなやりとりの会話で・・・・・
           まずは、英語で挨拶 自己紹介 
           そして、
           I am green. I can swim and jump.I do not like snake.
           What am I ?
           You are frog.


        問いかけるのは、小学校5年生と中学校1年生 (小中連携教育)
        答えるのは、当日、ご講演いただいた
                      東京学芸大学 教授 児島邦宏 先生

         私も、問いかけられ、答えました。


公開授業 (八幡小学校1,2,3,4年生)
 小学校  英語の歌
       単語の発音の繰り返し  (ゲーム感覚で、身体を動かしたりして・・・・・・・)

    

      八幡小学校1・2年生 3・4年生英語学習
            Let’s try actions!

  その、日々の学習の姿勢は


 目と目をあわせ

  Eye to eye.   
  大きな声で
 
    Speak loudly.   
   よく聞いて 

      Listen carefully.   

 この姿勢は、芸北の子どもたちに限らず、全国の日本人すべてにおいて大切なことだと思います。

 私たち日本人は、とかく 目と目をあわせて話すことが苦手です。
 仲間内だから、おのずと分かり合えている
                  ・・・目を通して相手の心を確認すると言う必要がなかったのでしょう。
 仲間内だから、ぼそぼそと話しても、とりあえず通用します。
 仲間内だから、大体聞けばおよそ察しがつくと言うところでしょう。
      「以心伝心」「阿吽の呼吸」「不言実行」「言わずが花」「言わず語らず」・・・

 これまで日本人は、おおむね定住して、同じ仲間内で暮らしていました。
 稲作、商工業、終身雇用・・・

 ところが近年、社会は大きく変わろうとしています。
 新たに知らないところに出かけ、話さなければならないことが多くなりました。
 いつまでも同じ仲間と言うわけに行かなくなったのです。
 正に、目と目を合わせ、大きな声ではっきりと、よく聞いて、
                         コミュニケーションしなければならなくなりました。

 日本語の会話でも、このような姿勢が必要ですが、
 その大切な姿勢を、英語を学ぶことによって、はっきりと身につけようというものです。
 
 英語で話しかけるには、勇気が要ります。
             恥ずかしがっていては、どうしようもありません。
    hsy(恥ずかしそう)にしていては、どうにもならないのです。 
 新たに人と接して、
     自分をさらけ出して、積極的に参加する気持ちが必要です。
                        ・・・じっとしていては取り残されます。
 何も言わない人、意見のない人は
            ・・・・何も考えていない人、
                  考えることができない人
                        人と交わる意思のない人   と、みなされます。
                
 そういう社会=国際化社会が到来しつつあります。
      国際化とは、必ずしも外国人と接することではなく、
                  開かれた新しい時代の新しい社会に生きることです。
 日本の社会が、着実に」変わりつつあります。
   ・・・・新しい時代に即応できる新しい教育が必要になっています。

 もともと英語は、ゲルマン民族のことば、
             移動してやまない民族のことばです。
      今もアメリカ人は、一生に平均16回、住所を変えるそうです。
    彼らは、言葉を最大限に活用して、自分を売り出して行かなければなりません。
 生きて行くために、言葉は重要です。
        ・・・・大切なコミュニケーションの技能を会得する必要があります。


 良しきにせよ、悪しきにせよ、日本の社会もこのように変わりつつあります。
 これから、子どもたちは、そうした時代に生きて行かなければなりません。

 日本語も満足に出にないものが・・・という意見があります。
 以上のような理由で、英語を学ぶことによって言葉の大切さを知り、
                   日本語をしっかりと修得するという点もあるのです。

 思うに、日本語の乱れは、仲間内から発しています。
 閉ざされた仲間うちの、仲間内だけに通用する、
                 省略したり、敬語を無視した、イキな言葉が流行りだす。
 社会一般の常識や伝統からは外れた言葉が、はびこるようになるのです。


           

公開授業 
           八幡幼稚園の英語の時間

                英語でカルタ、英語の歌、英語のゲームなど・・
                    お母さんも、子どもを連れて参観

 言語学的な理由もあるでしょう。
   発音は、早いほど・・・・・
   記憶力も、早いほど・・・・
      音楽のようなもので、早いほど、知らず知らずのうちに、自然と覚えられる
   しかし、ひとつの頭脳で、二つの言語は修得可能か?という研究もあります。

 日常的に使わない言語を学ぶことには、無理があります。
 言葉は、生まれてこの方、生活の中で、いつのまにか覚えて行くものです。
 学習を通して、英語に馴染む、関心を持つ・・・
         ・・・・・英語がおっくうにならない、避けない  
                               といったところを目指すべきでしょうか。

 先生はたいへんです。
 小学校には、英語の先生はいません。
 昔、習った英語を紐解き、方法を工夫し、
                    テープなど機器を使って、頑張っておられます。

 北広島町では、外国人の英語の先生を4人お願いしています。
    日本に在住の外国人2名、外国青年派遣生(政府を通して国際交流で招いた)2名
 小中学校へ出向いて、授業を援助しています。

 小学校へ英語の導入について議論されてきましたが、
 文部科学省では、 現段階では、英語の先生が配置できない
             週5日制で時間数が足りず、英語の時間をとるのが難しい
といった理由で、見送りとなっています。


(追記)                                           (18・11・8)

 ところで、英語を学ぶには、もうひとつ目的があります。
  話(コミュニケーション)をするには、
    @ 内容・・・・話そうにも、話すことがなくては、どうにもなりません。
             文章を書こうにも、書くことがなければ、どうにもなりません。
                「何を伝えるか」 
              いざ、英語を学んでも、 内容を理解できなければ進歩はありません。
                           話すことがなければ、話になりません。
            何事にも問題意識を持ち、自分なりに考えを持つ、
            ちょっとした会話にも、話題が次々ともちだせる
              ・・・・・・・そうしたことの大切さが、英語を学ぶことによって改めて解ります。

    A 話す技術・書く技術 (コミュニケーションの技術)
          相手に解り易く伝えるには、それなりの技能が必要です。
            その状況に応じた伝え方(話し方・書き方)
            相手に応じた言葉使い・敬語
                (英語には、日本語ほどの敬語はないようですが、
                   丁寧な話し方、正確な話し方などそれなりの姿勢があるでしょう)
            正しい文法 (主語・・・・過去・現在・未来・・・・肯定・否定 等々)
            論理的思考 (内容を理解して、解り易く伝える)
            等々

              聞く場合、読む場合にも、それなりの技術があります。
           正確に理解、話す相手が話しやすいように・・・・・
 
    企業や職種によっては、そうした訓練をしています。
    いろいろな人と交わり、上手にコミュニケートして行くにはそれなりの工夫、努力が
   必要な時代になっています。
    そうした学習を英語を通じて体験し、言葉の重要性を自覚するきっかけになれば・・・・
    日本語の使い方も向上するのではないでしょうか。
                                            (18.11.11)

広島市は、英語科を小学校教科に導入の特区指定を受ける
    とりわけ広島市は、国際平和都市として意義あることか
                                            (18.11.25)


        *****************************


○ 平成19年度研究公開   
    
     美和小学校  10月5日

 複式3,4年生の授業
  目標=はっきりした根拠を挙げながら自分の考えを表現することができるようにすると共に、
         分りやすく伝えようとする態度を育てる


 学習 「美和にコンビニエンスストアが必要である」という議題について、賛成・反対の両方の立場に立って考える

    児童から 順々に 賛成意見  ・何時でも開いている   ・近くて便利  など
                反対意見  ・賑やかになる  ・地域で生産したものがある  ・車で買いに行けばよい など 
    いろいろと意見が出ていました
    賛成意見ばかりかと思いきや、反対意見もたくさん出ました

  
見方を変えると、幅広く考えることができる  考えが深まる  他人のことも考えることができる

   ⇒  
  自分を、賛成の立場、あるいは反対の立場において、
       立場を明確にすれば、考えをまとめ易い
       そして、相手に解り易くはっきりと伝える(主張する)


  
  私事ですが、学生時代のことです。
  ESSクラブに属していたときのこと
  「ディベイングマッチ」という競技?がありました。

  1チーム5人で、2チームが対戦
  ひとつのテーマについて、くじ引きで、賛成の立場か、反対の立場に立って、討論する。    
  どちらが論理的で、論破したか、英語が良かったか、を審判する。
  そのため、テーマをよく研究して、あらかじめ賛成論、反対論をいろいろな角度からまとめ、
 文書にしてざっと記憶しておく。
  この角度からはAさん、あの角度からはBさんと分担しておく。
  まず、相手が主張することを論破して、続いてこちらの主張をする。
  最後に、5人のうちの主将にあたる者
        (賛成のときはAさん、反対のときはBさんと決めておく)が、主張をまとめる
  それぞれに制限時間がある。
  トーナメント方式で、優勝を決める。
  1回戦は賛成の立場、2回戦は反対の立場、そして今度は賛成というようなこともある

  初めの印象では、自分は反対なのに、心にも無い賛成を主張するのは嫌だな・・・・・
 と思ったりもしました
  しかし、そうした議論で、物事を体系的に捉え、幅広く、深く考えることができることも
 確かです。
   ・・・・・・・立場をはっきりすれば、言葉に出しやすい、ということがあります


  今日、「デベイトする」 という言葉が使われるようになりつつあります。
  「デベイト」は、真剣に議論する、というよりは、少し気楽に、幅広く、思う存分
 言い合ってみようといったニュアンスがあると思います。

  ・・・・・・・初めから主張や立場が決まっていて、いくら議論しても平行線
        長演説で、自己主張ばかり、 話が噛み合わない
     日本流の議論も、考え物です。



     

                                              (07.11.1)

中国新聞(07.12.13朝刊)によると、
   「小中9年一貫校制度化・・・・・教育再生会議原案
          小学校から英語実施
         ・・・・・小学校からの英語教育の実施を明記・・・・・
                                              (07.12.13)

中国新聞(08.2.16朝刊)によると、
   「新指導要領案・・・・・小学5年から外国語」
 ・・・(内容)あいさつや自己紹介など身近な場面を設定し、外国語を用いたコミュニケーションの
    楽しさを体験。日本と外国の言語や文化の違いを知り、外国や外国の文化のみならず、
    国語やわが国の文化についても理解を深める
      (指導計画の作成)英語を取り扱うことを原則とする。・・・・・・

        年間 5年生 35時間数  6年生  35時間数  (週1時間数)
                   (1時間数=45分)
                                              (08.2.17)

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