特集 10   
国の新農政

要旨

  
国は、新たな段階の農政を打ち出しました。

    
大規模農家や、農業法人に限って、国が援助しようと言うものです


経緯


 経済的背景 
   日本の農業の国際競争力は弱い。
     但し、これは相対的なこと
        どういうことかと言うと、日本の農業は、一定の労働力で生産できる能力は高い。
               農地面積が広いアメリカほどではないが、技術的に高いものがある。
        しかし、相対的に「円」が高いので、国際競争力は弱く、収入は少ない。
        なぜ、「円」が高いか?
        工業の競争力が農業の競争力以上に強くからです。
        高度の技術で良い物を安く生産して輸出できるのです。
     換言すれば、
        工業の賃金は、国際的に高い。
        高い賃金に見合うほど農業の生産高が上がらない
                                   ・・・・・・・というのが、日本の農業の実態です。
   
   
   そのため、日本は農業の保護政策をとってきました。 
      しかし、工業の発展とともに、貿易収支の黒字が膨らみました。
       当然のことながら、工業部門で自由に輸出しているのだから、
             農業も自由に競争しろという圧力が、海外からかかってきました。

   そのような国際環境から、個々に品目別に交渉しながら、徐々に自由化を進めてきました。
         果物。肉、酪農品、野菜、・・・・・・



 農業政策の流れ
   占領下で民主化のため農地改革が断行され、農業生産規模の平準化が進められました。
   食料不足から、農地の開拓等、生産の拡大策がとられました。
   ところが、高度成長の頃から、工業製品の輸出が伸びる一方で、農産物の輸入が増え、
                      日本の農業の保護政策が必要になってきました。
   農政の方式
      @ 海外からの保護政策・・・・・関税、輸入数量制限等
      A 農業補助金  ・・・・・・・・・農道・水路・圃場整備など基盤整備
                         生産の支援等々によるコストの引下げ
      B そして、コスト引き下げのため 規模拡大
               農地の集積(流動化推進)

  しかし、国際経済の中で基本的に不利な状況下で、いろいろと工夫されましたが、
           日本の農政は、「バラマキ」、「猫の目」と批判されました。



 国の新農政 (簡略に説明しますので、詳しくは 担い手経営安定対策 をご覧ください)

 <方針>
   @ 「バラマキ」 ⇒  品目 を限る    規模拡大が必要な作物 米、麦、大豆など 
                 対象 を限る    認定農家   4ha以上経営
                           農業法人  20ha以上経営
   

   A 「猫の目」  ⇒  農業の経営安定 
                        輸入価格との格差是正  = ゲタ対策 
                              (テストの点に下駄をはかす、の意味と同じ)

                        価格変動に対処するため、過去の収入実績に応じて収入補填
                                          = ナラシ対策
                                          (凸凹をならす、の意)

   


  要約したものが、中国新聞 9月1日朝刊 7面に出ていました
     ・・・・農業「担い手」に支援集中
              政府新対策
                 申請きょう受け付け (秋まき麦の生産農家を対象)
                    一定規模条件 競争力強化図る
          中国地方 
             小規模でも特例助成



  北広島町における 大規模農家 や 農業法人の実情については、
                            朝風第17号 農政の調整・確立  をご参考に!

 
問題点

 @ 規模拡大と収入補填で経営安定を図る ・・・・それに必要な支援がどこまでできるか
              
 A 農業をやって行けない農家が急増する
          高齢化
          若い者がいても、勤めが忙しくてできない、 農業に関心がない(習っていない)
          機械が壊れて、更新には高額のお金がいる
          小規模では、赤字    等々
    耕地の荒廃が進みつつある・・・・
  
          しかし、農業の担い手が育っていない ・・・今の専業農家の大半は、60才以上
          法人の結成が難しい・・・・・・地域でまとめることが難しい
                  足並みが揃わない   機械がある
                                 小規模でも自分でやりたい
                                 既に大規模農家に貸している   等々
 B 小規模でも、農業をしたい
         そうした農家を見捨てるのか・・・・・
                                                     (18・8.30)

<コメント>
 旧大朝町では、昭和40年代から、農地を拡大し、農繁期には雇用して規模の拡大を進めてきた農家があります。
 町も、農地の貸し借りを奨励し、農地の集積=流動化を推進しました。当時、流動化率は、県内でも1位、2位をしめていました。
 当時、働き場を確保するため企業誘致を進めましたが、農繁期に従業員が休むようでは企業も困る、農家は規模拡大して農業で生活できるようにして働き場を確保する、企業に勤める人は企業に専念する・・・・・そうした観点から、専業農家の育成に努めてきた面もあります。
 同時に、国が推し進める農業法人化についてもいち早く取り組み、組織化しました。小さな農家では採算に合わない、高齢化して後継者がいない、いずれ誰かに農地を頼まなければならない・・・・そうした認識が町民一帯に広まり、大規模農家や法人へ農地の集積が進みました。その結果、朝風第17号「国の新農政」の4頁の表にあるとおり、農地の約半分が大規模農家か法人のもとで耕作されるようになりました。これは、旧大朝町の農業の大きな特色であり、国の農政の方向から言えば、先取りしたものと言えるでしょう
                                                        (9.6 )
                                                     


一般質問 
   議員杉本は、6月の議会において、以上の観点と、朝風 第17号 農政の調整・確立 
 でお伝えした資料をもとに、議会で質問しました。
   その質問と町長及び当局の答弁の一部を、町議会広報から転記します。

(質問)
  @ 本町の農業政策は、合併してなお旧町のままとなっている。いつどのように調整しますか。四地域はそれぞれ地域の条件を活かして懸命に取り組んできました。今後とも地域ごとに農家が参加して取り組む体制が適切と考えますがどうですか。
  A 国は支援の対象を大型農家や法人に限る農政を打ち出しました。これに不安を感じている農家がありますが、、本町としてどう考えますか。

(答弁)
  @ 西日本一広い町になったので、町として農業政策の基軸を確立し、それぞれの地域の条件に応じた農業の振興を図ります。具体的には経営安定対策協議会を立ち上げ、っそこで地域水田農業推進協議会の再編、振興対策等を議論していただき、年末までにまとめます。
  A 国の目指す農業について行けない農家には当面の対策を考え、流通・消費に至るまで自立可能な農業の発展に取り組みます。