14号台風で
  オオサンショウウオも災難

 志路原川の支流
   浄土寺横の公園を流れる大口川

 洪水でオオサンショウウオの穴が
埋まりました。
 オオサンショウウオは
穴の手前で立ち往生
 穴の中には、大切な卵が・・・
 卵は、一刻も早く
新しい水を入れて酸素を供給
してやらなけければなりません。

 それを見つけた
双葉保育園の保育士さん
  (石垣と草土手の境目の水の中)
 三ちゃんs村の村長さんに連絡して
土砂を除去してもらいました。
 すると、オオサンショウウオは、
小さな目に涙を浮かべて
 穴の中へ入っていったそうな・・・・
  卵の無事を祈るばかりです。


オオサンショウウオ
     イギリス BBC放送が取材

 志路原川の支流 大口川
 コンクリートの壁の下に穴があって
    その奥が オオサンショウウオの すみか
   建物の中にカメラがセットされ、
      卵を産み、守る姿が」  
        撮影できるようになっている

  その様子は、この前のNHKのTVで
                  放送されました
  イギリスBBC放送は、
      科学的な題材に取り組むことで有名
         NHKでもよく放送されます
 イギリスにも、
    10cmくらいのサンショウウオの類が
      いるそうですが、
  
オオサンショウウオは「生きた化石」とも言われ、
    日本特有で、特別天然記念物


    30年にわたり、志路原川でオオサンショウウオの観察に取り組み、
    その研究の中心になられた 安佐動物公園 桑原一司 さんが、
    この度、広島大学から、博士号を授与され、お祝いの記念講演がありました。



        <お話を、私なりに要約させていただきます>
   ・ オオサンショウウオは世界最大の両生類(蛙、イモリなどの仲間)
   ・ 人類が猿から分かれて進化したのが500万年前、
     オオサンショウウオは3000万年前から進化せずに・・・・「生きた化石」と言われる
   ・ 生息地は、日本でも、中国山地から近畿の山地周辺に限られる
                         ・・・・日本列島の成り立ちとも関連があるか?・
   ・ 大きいもので150センチ以上、80才から100才のものもいるようだ
                        人類と同じように、18才頃から繁殖を始める
   ・研究課題は、どのようにして繁殖するか?
           長い間、謎とされてきました。
     ・・・・・動物園として、他の動物園にないテーマとして取り組む
                サンショウウオの繁殖行動を取り上げ、34年前から、
                      志路川で観察を始める
   ・研究結果                      ぬし
       川岸の穴に、雄のオオサンショウウオが主として棲みつく
       他の雄がその穴に入ろうとしても、攻撃して排除する
       ところが、9月の初めごろの繁殖期には、
       雌が穴に入ると、主の雄は受け入れ、腹やお知りなどを押して産卵を促がす
       雌は、蛙の卵のような連結した白い卵 約2000個を産む
       不思議なのは、そうなると他の雄が入ってきても、主の雄は攻撃しなくなること
       ・・・・・・先生のお話では、雌がお尻から特有の匂い(フェロモン)を出して、
                       雄の攻撃性を麻痺させるのでは・・・・・・
       穴の中は、1匹の雌と数匹の雄のオオサンショウウオで大騒動
       そして、卵は、雄の精子を受精する       ぬし
       その後、主は攻撃性を取り戻し、他を排除して主1匹で卵を守る。
             ・・・・・・・・・・

    ・このような研究も、地元の支援があればこそ・・・・・・・


  はんざけが噛みついたら、雷が鳴るまで離さん。                
     ・・・・・・子供の頃、年寄りから聞いた。
  先生に質問したところ、
     手を食いつかれたことがあるそうで、
        ノコギリのような歯なので、
           手をぬこうとすると
             ノコギリで横にひっかいたようになり、
               深くはないが全体に血が出て
                   1週間くらいでかさふたになった・・・・

 噛み付かれたら大変と、
     はんざけが怖くて、触らず、近寄らず・・・・・・・
 雷が鳴るまで離さないという年寄りの話は、
          貴重な動物を守る知恵だったのか。


      参考文献・・・ドキュメント 地球のなかまたち
                 川の王さま オオサンショウウオ   編 広島市安佐動物公園
                                           (新日本出版社)

                                                  (07.11.14)


  井伏鱒二に、「山椒魚」という短編小説があります。 

    (書き出し)
     「山椒魚は悲しんだ。
      彼は彼の棲家である岩屋から外へ出てみようとしたのであるが、
     頭が出口につかえて外に出ることができなかったのである。・・・・・・・・
」       ・
 
  オオアサンショウウオが穴から出られなくなるが、その運命にありながら、
  群れから離れることができないメダカを嘲笑したり
  穴に入ってきた蛙を閉じ込めたり・・・・・・
  少々陰険な作品ですが、人間の本性を掘り下げた小説のようです。
  井伏鱒二の処女作だそうです。

  井伏鱒二は福山(旧広島県深安郡加茂町粟根)の出身で、
 福山中学校の中庭に池があり、先生が2匹のオオサンショウウオを飼っておられ、
 井伏鱒二が観察していたということです。

  桑原先生のお話を聞いて、
   @ オオサンショウウオは、数十年の寿命がある。2年程度で、入った穴から出られなく
     なるほど頭が大きくなるだろうか。
   A 餌を探して、穴からしょっちゅう出入りするのではないか。
   B 年間には、雌を迎え入れたり、卵を守ったり、生殖活動があるはず。
  等々、? と感じるところがあります。
   閉ざされた池での生態と、志路原川の自然の中での生態は自ずと違うでしょう。
  文学的には、ひとつの状況を想定して、人間になぞらえて小説化したものでしょうが・・・・・・
 
                                     井伏鱒二 山椒魚
                                          そのほかにも・・・・

                                            (08.2.6)
  、


     

 志路原川の堰 ・・・・・ 海応寺 (吉川元春館跡展示室「戦国の庭歴史館」の近く)

          さすが、志路原はオオサンショウウオの里
                   これなら、魚もオオサンショウウオも楽々と上れます
 (オオサンショウウオが苦労してコンクリートの堰を越えているビデオがありました。)

     

 平成22年11月3日の紅葉まつりに、COP10生物多様性条約第10回締結国際会議に参加された三ちゃんs村 村長 福長幸男さんから報告がありました。
 <報告の一部>
 ・ブースの一区画で展示。三重県の伊賀の里にも、オオサンショウウオを守る会があるそうです。
                 (検索すれば出ます。)
 ・関東にオオサンショウウオがいない理由
日本列島は、糸魚川静岡構造線という大断層があり、列島の成立ちが異なり、生態系も異なる。
 
 ・ ヨーロッパで、3000年も前の地層から奇妙な動物の化石が見つかりました。何という動物か解りませんでしたが、江戸時代にシーボルトが日本にやってきて、鈴鹿産のオオアサンショウウオをオランダに持ち帰り、オオサンショウウオであることが判明したそうです。(そのアルコール浸けが今も、ライデン国立民族学博物館にあります。)

 ・空気をはじめ自然は、数億年をかけて作られたもの。人間が独り占めにするべきものではない。



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  シリーズ 4   川の王さま オオサンショウウオ     ・

抜粋・「地方自治を確立する会」杉本武信